『Know』by 野崎
読書が趣味ではなくなってしまったんですが、野崎まどさんの小説を2つ読みました。
野崎まど作家の作品、特に『2』を含めた連作シリーズとは高校の時出会い、その発想とストーリーが私が創作者を目指すよう導いたと思います。
連作シリーズで得た感想はまさに「怪作」という表現が似合う作家でしたが、最近の作品はさらに洗練されていると感じました。
脚本を担当した『Hello, World!』も面白くみましたし、『Know』も小説でありながら、同時に脚本のような気がしました。
『Know』の書評は2つのポストにするつもりですが、今日は一つのポイント、情報うつ病に着目したポストになります。
『Know』のあらすじ
2081年の日本、京都。
高度情報化対策として人工脳葉、「電子葉」の移植が義務化された世界。
情報庁で働く官僚、御野・連レルは、情報素子のコードの中で恩師であり、現在行方不明となっている研究者、道終・常イチが残した暗号を発見する。
その「啓示」に導かれ、御野が辿り着いた先にはひとりの少女が待っていた……。
道終の真意を理解できぬまま、御野は「すべてを知る」ため、彼女と共に行動することにする。
そして、それは世界が変わり始める四日間の始まりだった。
「ほぼすべてを知っている」と思っていた尾野と、「すべてを知っている」少女との出会いが、この世界にもたらす衝撃的な結末とは?
『Know』の書評
AIなど理系の知識で恐ろしい発想を引き出す野崎まど作家ですが、最近の作品では「情報」というキーワードがよく使われています。
情報うつ病
「情報の波」のような時代
私が引っかかったところは情報うつ病。
確かにどっちかの作品の初版部に出ていると思いますが、最近は感じていたポイントでしたので話さざるを得なかったです。
最近はいわゆる「情報の波」のような時代。
パソコン・スマホなどで必要ならばあらゆる分野の情報を手に入れることができ、これがまた人にも様々なきっかけになって可能性をもたらし、世界を豊かにしていると。
でも大体世界にも人にも表と裏がありますね。
情報うつ病
「あらゆる分野の情報を手に入れることができ、これがまた人にも様々なきっかけになって可能性をもたらし、世界を豊かにしていると。」を反対に考えればそうできなかったときは相対的な剝奪感がかなり大きいのではないでしょうか。
これが、こんな情報があったのに、こういう道や選択肢もあったのに、既に知っていたらもう少しできたのになどさんざん後悔して、「情報うつ病」につながる可能性もあります。
私自身がそういう状態に近かった。
何故なのか:ソフトウェアとハードウェア
何故なのかを考えてみると現代人はあまりにもたくさん情報の漏出されているのではないでしょうか。
人がこれほどの情報を処理してまだ1世紀もたっていないかもしれません。
AI時代の向かっているにあたってNVIDAという会社に投資しました。
情報処理の根幹になるハードウェアを設計する会社ですね。
NVIDAの株がかなり上がってけっこ利益になりましたが、何故この会社に長目したのかと一緒です。
つまり人がソフトウェアで情報処理をカバーしようとしても現在の人のハードウェアには限界がある。
人によっては大きい問題になるほど処理能力がついてきていない人もある。
これからは世界で生き残るためにはこの情報処理能力を高めるまたは極めるのがポイントになるかと思います。
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